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はじめに

失業保険は、多くの働く人々にとって非常に重要な制度となっています。

特に、自己都合での退職を考えている方々にとっては、失業保険の受給条件や金額、期間などの詳細を知ることは必須です。

しかし、自己都合退職と失業保険の関係には多くの疑問があり、正確な情報を得ることが難しいことも少なくありません。

この記事では、失業保険と自己都合退職に関する基本的な情報をわかりやすく徹底解説します。

自己都合退職を考えている方、またはこれから退職を迎える方にとって、失業保険の受給に関する知識を深める手助けとなることを目指しています。

実際にいくらもらえるかのシミュレーションも紹介しています。安心して退職を迎えるための第一歩として、ぜひこの記事をお読みください。

失業保険とは?

失業保険とは?

失業保険は、働いていた人が何らかの理由で失業した際に、一時的な生計の支援や再就職のための支援を行うための制度です。

この制度は、働く人々が安心して職を失っても生計を立てることができるように、また新たな職を見つけるためのサポートを受けることができるように設けられています。

失業保険の受給資格は、一定の期間以上働いていたこと、そして失業の原因や状況に応じて異なります。

例えば、会社都合での解雇や契約期間の終了など、自らの意思での退職でない場合は、比較的簡単に失業保険の受給資格を得ることができます。

一方、自己都合での退職の場合、特定の条件を満たす必要があります。

また、失業保険は単に経済的なサポートだけでなく、再就職活動のサポートも提供しています。

ハローワークなどの公的機関では、求職者に対して職業紹介や職業訓練、キャリアカウンセリングなどのサービスを提供しており、失業者が新たな職を見つける手助けをしています。

自己都合退職と失業保険

自己都合退職は、従業員自身の意思で会社を退職することを指します。

家庭の事情、健康上の理由、キャリアチェンジの希望など、多岐にわたる理由が考えられます。

このような退職の形態は、失業保険の受給に関して特定の制約が存在します。

自己都合での退職後、すぐに失業保険を受給することは一般的に難しいとされています。

特定の条件、例えば通勤が困難な距離に転居した場合や家族の看護が必要になった場合など、一定の「正当な理由」が認められるケースがあります。

一般的には自己都合退職後、ハローワークでの求職活動を積極的に行い、一定期間(7日間+通常3ヶ月)が経過すると、失業保険の受給資格を得ることができます。

この期間は「待機期間」と呼ばれます。

退職を考えている方は、事前に失業保険の受給条件や手続きについて十分に調査し、理解しておくことが大切です。

これにより、退職後の生活や再就職活動をより効果的に進めることができます。

特定受給資格者及び特定理由退職者の範囲
特定受給資格者の範囲
  • 倒産(破産、民事再生、会社更生等)に伴う退職
  • 事業所での大量雇用変動による退職
  • 事業所の廃止に伴う退職
  • 事業所の移転による通勤困難による退職
  • 重大な理由を除く解雇による退職
  • 労働条件の著しい相違による退職
  • 賃金の未払いによる退職
  • 賃金の大幅な低下による退職
  • 長時間の時間外労働による退職
  • 職場のセクシュアルハラスメントや妊娠、出産、育児休業等に関する不利益な取扱いによる退職
  • 職種転換等における配慮の不足による退職
  • 期間の定めのある労働契約の更新がないことによる退職
  • 職場の排斥や冷遇、嫌がらせによる退職
  • 事業主からの退職勧奨による退職
  • 事業所の休業が3か月以上続くことによる退職
  • 事業所の業務が法令に違反したための退職
特定理由退職者の範囲
  • 期間の定めのある労働契約の期間満了による退職
  • 体力の不足や心身の障害、疾病、負傷等による退職
  • 妊娠、出産、育児等による退職
  • 家庭の事情の急変による退職
  • 配偶者や親族との別居生活が困難になったことによる退職
  • 通勤が不可能または困難となった理由による退職
  • 企業整備による人員整理等での希望退職

失業保険を受け取るための条件

失業保険を受け取るための条件

失業保険を受給するためには、以下の基本的な条件を満たす必要があります。

雇用保険に加入していた期間

雇用保険に加入していた期間が一定以上であることが求められます。

具体的には、過去2年間のうち、通常12ヶ月以上の期間、雇用保険に加入していたことが条件となります。

失業の原因

失業の原因が、自己都合退職、会社都合退職など、受給資格を得るための条件を満たしていることが必要です。

求職活動の意思

失業後、再び仕事を求める意思があることをハローワークに申告し、積極的に求職活動を行うことが求められます。

待機期間の経過

自己都合退職の場合、通常7日間(退職理由関係なく待機する期間)+3ヶ月の待機期間が設けられています。

この期間中に求職活動を行い、その後失業保険の受給資格を得ることができます。

参考サイト:厚生労働省:全国ハローワーク所在地

これらの条件を満たすことで、失業保険の受給資格を得ることができます。

ただし、具体的な受給資格や金額は、個人の状況やハローワークの判断や条件が変わる場合がありますので、詳細はハローワークでの確認が必要です。

条件詳細
雇用保険の加入期間過去2年間で12ヶ月以上の加入
失業の原因自己都合、会社都合などの条件を満たす
求職活動の意思再就職の意思があり、ハローワークに申告
待機期間自己都合退職の場合、7日間+3ヶ月の待機期間

失業保険の金額と期間

失業保険の金額と期間

失業保険の金額や受給期間は、以下の要因によって異なります。

前職の給与額

失業保険の金額は、前職での給与額に基づいて計算されます。具体的には、退職前の給与の一部が失業保険として支給されます。

受給可能な最大の金額をまとめてみました。

基本手当の1日当たりの金額は、退職した日の直前の6か月の賃金の合計を180で割った金額の約50~80%となります。

年齢別に受給金額をまとめてみました。

年齢受給できる金額(令和5年8月1日現在)
30歳未満6,945円
30歳以上45歳未満7,715円
45歳以上60歳未満8,490円
60歳以上65歳未満7,294円

加入期間

失業保険の受給期間は、雇用保険に加入していた期間によって決まります。

例えば、短期間しか加入していない場合は、受給期間も短くなります。

逆に、長期間加入していた場合は、受給期間も長くなります。

自己都合による退職被保険者であった期間
1年未満1年以上5年未満5年以上10年未満10年以上20年未満
全年齢90日90日120日150日

受給可能な金額をシミュレーション

例えば31歳で月の給与が30万円をもらっていた場合、過去6ヶ月間の賃金総額は180万円になります。
この賃金総額がわかりにくいのですが下記ルールになっています。

  • 残業や通勤、住宅手当は含む
  • 賞与、退職金、祝い金は除く
  • まとめると

    条件
    年齢:31歳
    退職理由:自己都合退職
    給与:30万円(賞与、退職金、祝い金は除く)
    過去6ヶ月間の賃金総額:180万円
    被保険者期間:1年(雇用保険に加入していた期間)
    受給金額
    基本日額:7,715円
    待機期間:7日間の待機期間+3ヶ月間(約97日間)
    給付日数:90日
    総額:694,350円

    となります。

    自己都合退職で給付日数が90日だと月あたり約231,450円が受給できる計算となります。

    基本日額は変動していくので詳しくはハローワークの受給額項目を見てください

    ハローワーク

    またいくらもらえるのか少し情報は古いですが、シミュレーションサイトも紹介します。

    CASIO:雇用保険の給付額(失業給付金)の計算

    自己都合での退職以外も表でまとめてみました。

    日額 (円)支給総額 (円)給付日数 (日)
    基本手当日額7,715円
    ・特定受給資格者・特定理由退職者1925,800円120日
    上の対象者が60日の延長に該当する場合(※2)1,388,700円180日
    上の対象者が30日の延長に該当する場合(※2)1,157,250円150日
    ・一般受給資格者・特定理由退職者2・定年退職者694,350円90日
    上の対象者が60日の延長に該当する場合(※2)1,157,250円150日
    上の対象者が30日の延長に該当する場合(※2)925,800円120日

    失業保険以外でも受給可能な手当を紹介

    退職後に失業保険以外でも受給可能?

    転職活動に繋がり一定の条件を満たすと受給できることがありますので紹介します。

    1.公共職業訓練(ハロートレーニング)

    「求職者支援訓練」とは

    雇用保険を受給できない求職者を対象とした、厚生労働大臣の認定を受けた職業訓練です。

  • 「基礎コース」:多くの職種に共通する基本的能力習得。
  • 「実践コース」:基本的能力と特定の職種の職務に必要な実践的能力を一括して習得。
  • 訓練期間:1コース3か月から6か月。
  • 訓練実施機関はハローワークと連携して就職支援を行う。

    「特定求職者」とは、以下の要件を全て満たす者。

  • ハローワークでの求職手続きを行っている状態。
  • 雇用保険の被保険者や受給資格を持っていないこと。
  • 労働を行う意欲とスキルを持っていること。
  • ハローワークが職業訓練などのサポートが必要と判断したこと。
  • 特定求職者に該当しない方は在職中の方、短時間就労や短期就労のみを希望する方、老齢年金の受給者などです。

    また職業訓練を受講後は下記条件となります。

    職業訓練受講給付金
    対象者特定求職者がハローワークの支援指示を受けて求職者支援訓練や公共職業訓練を受講する場合。
    職業訓練受講手当月額10万円
    通所手当職業訓練実施施設までの通所経路に応じた所定の額(上限額あり)
    特記事項訓練期間が28日未満の場合、支給額を別途算定。通所手当は、最も経済的かつ合理的な通所経路・方法による運賃または料金の額となる。
    支給要件
    • 本人収入:月8万円以下
    • 世帯全体の収入:月25万円以下
    • 世帯全体の金融資産:300万円以下
    • 土地・建物の所有:現在住んでいるところ以外に所有していない
    • 出席率:全ての訓練実施日に出席(やむを得ない理由がある場合でも、各訓練期間の8割以上出席)
    • 同世帯の中に同時にこの給付金を受給して訓練を受けている人がいない
    • 過去3年以内に、不正により特定の給付金の支給を受けたことがない
    ※注意※
    求職者支援制度は職業訓練を受けて就職を目指す方の制度です。
    下記に該当すると不支給となる場合があります。
  • 訓練の欠席(遅刻、欠課、早退を含む)やハローワークの就職支援を拒否すると、給付金が不支給となる。
  • これを繰り返すと、訓練期間の初日から給付金の返還命令などの対象となる。
  • やむを得ない理由での欠席でも、8割以上の出席がない場合、職業訓練受講給付金は支給されない。
  • 労働金庫の融資制度も利用可能

    職業訓練受講給付金だけでは生活費が足りない場合、労働金庫の融資制度を利用可能です。

  • 貸付上限額:同居または生計を一つにする配偶者、子、父母がいる方は月10万円、それ以外は月5万円。
  • 融資を受けるには労働金庫の審査が必要。
  • 未成年者は原則として融資利用不可。最終返済時の年齢は65歳。
  • 訓練中途退校時、元金据置期間が変更。
  • 職業訓練受講給付金の支給が停止(欠席繰り返し、就職支援拒否、不正受給等の理由)の場合、債務残高を一括返済必要。
  • 就職を理由とした返済の免除措置はなし
  • 職業訓練受講までの流れ

    受講までの一連の流れをまとめてみました。

    訓練受講の手続き
    1.求職申込み・制度説明:ハローワークで求職申込みと制度説明を受ける。
    2.訓練コースの選択:ハローワークで職業相談を受け、訓練コースを選択し、必要書類を受け取る。
    3.訓練の受講申込み:ハローワークで受講申込みを行い、その後訓練実施機関に受講申込書を提出。
    4.訓練実施機関による選考:訓練実施機関での選考(面接・筆記など)を受ける。
    5.就職支援計画の作成:訓練実施機関からの合格通知後、ハローワークで「就職支援計画」を受け取る。
    6.訓練の受講開始:訓練受講中から訓練終了後3カ月間、ハローワークで月1回の定期的な職業相談を受ける。
    注意点
    1.訓練を1回でも欠席すると、職業訓練受講給付金は支給されない。
    2.指定来所日にハローワークに来所しない場合、職業訓練受講給付金は支給されない。繰り返すと給付金の返還命令の対象となる。
    3.訓練受講中の支給申請に関する説明をハローワークで受ける必要がある。

    求職者支援制度の手続きについて

    職業訓練受講給付金の事前審査に必要な書類

  • 本人確認書類(運転免許証、住民基本台帳カードなど)
  • ハローワークから交付された各種様式(受講申込書、事前審査書など)
  • 所定の添付書類(住民票謄本の写し、収入証明書類、預貯金通帳など)
  • 支給申請に必要な書類

  • ハローワークから交付された各種様式(職業訓練受講給付金支給申請書、就職支援計画書など)
  • 訓練を欠席した場合の理由を証明する書類(病気、看護、面接、交通事故などの証明書類)
  • 訓練の欠席、指定来所日の変更における「やむを得ない理由」
  • 訓練を1回でも欠席すると、その月の職業訓練受講給付金は支給されない。
    指定来所日にハローワークに来所しない場合、以後の給付金は支給されない。
    必要な証明書類の提出がないと「やむを得ない理由」として認められない。

    訓練コースの選定や職業訓練受講給付金の手続きには時間がかかるため、早めの相談を推奨します。

    詳細はハローワークや厚生労働省ホームページの求職者支援制度ページで確認してください。

    以上職業訓練の一連の情報を紹介しました。

    そのほか

  • 技能習得手当
  • 公共職業訓練を受ける受給資格者には、基本手当とは別に技能習得手当が支給されることがあります。

  • 寄宿手当
  • 公共職業訓練を受けるために家族と別居して寄宿する場合に支給される手当です。

  • 傷病手当
  • 離職後に疾病や負傷のために15日以上働けなくなった場合に支給される手当です。

    なども支給されたりするので再就職に向けてしっかりと準備していければ安心です!

    なお、注意してほしい点は不正受給です。

    偽りや不正の行為で基本手当を受けた場合、返還を求められるほか、一定の罰則が適用されることがあります。

    アルバイトやお手伝いで金銭(お給料)をもらった場合はハローワークの担当へ必ず申告しましょう。

    まとめ

    まとめ
    「ななナビ」のブログ記事では、失業保険と自己都合退職に関する重要な情報を提供しています。
    記事は、失業保険の基本的な概念から、自己都合退職時の受給資格、受給条件、金額の計算方法、受給期間などの詳細にわたる情報を網羅しています。
    退職を検討している方や、失業保険の受給を考えている方にとって、この記事は有益なヒントやアドバイスを提供しています。
    さらに、関連する他の記事へのリンクも紹介していますので、より深く知識を深めるために参考にしてください。

    8.関連サイト

    基本手当について: 失業保険の基本手当の詳細と受給資格についての情報。

    基本手当の所定給付日数: 所定給付日数の詳細と、年齢や被保険期間による変動を説明。

    ハロートレーニング: 離職者や求職者のための訓練プログラムの概要。

    特定理由離職者の範囲: 特定の理由での離職者の範囲と詳細な条件を紹介。